総合歯科治療とは、悪くなった歯、歯周病、顎関節症だけを診るのではなく、
「そこが悪くなった原因は何か?」を
多角的、客観的、定量的に検査、診断し行う歯科治療です。
従来の歯の状態だけ、歯周病の状態だけ、顎関節の状態だけ、を診る訳ではありません。
歯科疾患は炎症と力が原因で起こります(他に材料の質などで二次的に起こる場合もあります)。
炎症とは口の中の汚れ、力とは噛み合わせです。
頑張って歯ブラシをしてもむし歯や歯周病が治らない場合、噛み合わせが原因の場合があります。
当院の総合歯科検査では、噛み合わせが今の病態と関連があるか、をきちんと調べる事が出来ます。
噛み合わせに問題が無ければ、そのままの噛み合わせで治せば良い訳ですし、もし噛み合わせに問題があれば、噛み合わせの対策も立てなければなりません。
Quintessence Dental Technology(QDT)という専門誌で、ICOM-JAPANの学術、症例の連載(全8回)をしています。
この度、担当した8回目(最終回)が掲載されました。
噛める咬合のその先へ シークエンシャル咬合による機能的咬合再構成の最前線
第8回(最終回):Slavicek-Sato concept によるチームアプローチ
今回は技工を担当頂いた長谷川篤史DTとの共著で22ページも載せて頂きました。
むし歯、歯周病、顎機能障害、審美障害が起きている患者さんに対し、歯列矯正治療、補綴治療(被せ物の治療)で顎の位置と噛み合わせを治し、問題点を全て解決した症例について執筆しました。
診査診断、問題点の抽出、治療計画、治療基準位の設定、再検査後の検証と対策、マテリアルの選択、治療後の検証等、多岐に渡っています。
4年に一度の国際歯科大会が横浜で行われます。
我々の学会ICOM JAPANでは「咬合医学」という旗を掲げ、会長、本部会長ら5名で講演を行います。
https://www.quint-j.co.jp/web/JDA2018/session_detail/57/
私も「ブラキシズムに対応したこれからの咬合治療」と題しお話ししますので、お時間のある方は是非参加下さい。
60代半ばの男性の治療前後です。
一般に、歯を白くするのが審美歯科治療と思われているようですが、
その人の個性(年齢、肌の色、歯肉の色、歯の見え方、喋り方、笑い方など)を考慮するのが本当の審美歯科治療です。
この患者さんは、下の前歯以外は全て被せ物です。
歯の色はあえて暗くし、加齢に応じた着色や表面の小さなクラック(ひび割れ)を入れています。
白過ぎて不自然な歯よりも、年齢に応じた色や形が自然で健康的に思われます。
但し、この患者さんの治療上の問題点は、
※なぜ下の前歯以外の歯の治療が必要になってしまったのか(何本かは抜歯にもなっています)
ということです。
総合検査の結果、噛み合わせにも大いに問題があり、顎の位置もずれていることが分かりました。
噛み合わせ、顎のずれを治すことで、今後のむし歯、歯周病、顎関節症のリスクを可及的に下げることを目標に治療を進めました。
治療前後:正面
治療前後:開口
治療前後:側面
治療前後:上顎
1月21日はCiメディカル セミナールームでの総合歯科治療入門セミナーを行いました。
佐藤ースラビチェック理論:いわゆるシークエンシャル咬合の理論、が全く初めての方から、既にベーシックコースを卒業された方まで、多くの方に参加頂けました。
青木先生と2人で交互にお話をしましたが、時間制限もあり、本当に入門編でのお話に徹しました。
1日ではとても話し切れる理論、臨床ではありませんので、興味を持たれた方はベーシックコースの受講をお勧めします。
http://www.ne.jp/asahi/tdcsh/gp/
報告が大変遅くなってしまいましたが、歯科医療関係者向け「総合歯科ベーシックコース」は名前を変え、「シークエンシャル咬合による矯正・補綴的咬合再構成 総合コース」として4月から再スタートしています。
内容に変更はありませんが、よりブラッシュアップした講義、実習を実践出来ているかと思います。
10月21、22日は6回12日間コースの4回目を行いました。
今回は台風が上陸した影響もあり、遠くから参加の先生は帰りが大変だったようです。大変お疲れ様でした。
また、来年度のベーシックコースも日程が決定しています。
むし歯だけ、歯周病だけ、見た目を綺麗にするだけ、の局所的、対症療法的な治療とは異なり、患者さんの健康のための、原因を考えた包括的な治療法です。
また、SATO-SRAVICEK CONCEPTの佐藤貞雄先生は大変多忙で、世界中を飛び回って指導されていますが、日本で直接指導頂ける唯一のコースでもあります。
7月の連休に、我々のスタディグループのメンバーである西山先生http://nishiyama-shika.comが立ち上げた姉妹グループ Geepee Brothers福島http://nishiyama-shika.com/?page_id=22の定期勉強会に行ってきました。
昨年9月、本年1月に続き3度目の郡山です。
会場はメンバーの猪狩先生のしろくま歯科医院http://www.shirokuma-d.com
です。名前どおり、たくさんのしろくま人形や写真が飾ってあり、驚きました!
午前は患者さんの実際の治療を行いました。
そして午後は症例相談から始まり、私も「ブラキシズムを考慮した歯科治療〜TCHの問題点」と題しお話をしてきました。
↑コメント中の西山先生
TCHについては以前このブログでも取り上げています。http://n-d-o.weblogs.jp/blog/2017/03/tooth-contacting-habit-tch-歯列接触癖.html
参加された熱心な郡山の猪狩先生からまたまた感想を頂きました。
折角褒めて頂いたので載せさせて頂きます!
http://shirokuma.lekumo.biz/o/2017/08/geepee-87ac.html
http://shirokuma.lekumo.biz/o/2017/08/geepeetch-0175.html
いわゆる見た目を治すだけの治療ではありません。
この患者さんは、歯が所々すり減っていたのですが、そのすり減りの原因がかみ合わせの不具合から来ていました。
歯周病も重度であり、むし歯の治療も繰り返し、歯も何本か失ってしまいました。
術前後
何が原因で見た目の不具合が起きているのか?
そこから考えていかなければ、同じようにすり減ってしまったり、また治療を繰り返すことになってしまいます。
まず大切なことは、そこに至ってしまったヒストリーも考えての診査診断です。
術前後
術前後
歯列不正や顎偏位を治すために、矯正治療と補綴治療(被せ物の治療)を行いました。
正しい顎の位置は、右の関節が2mm前方、左の関節が1mm前方だと診断し、そこに向かって治療を進めます。
歯列矯正後の再検査では、まだ少しのズレがあり、更に右側のかみ合わせを1mm高くする必要がありました。
歯は削れば弱くなってしまいます。
もともと削って被せてあった歯は、被せ物の交換をしていますが、前歯は削らずに、非常に薄いセラミックシェル(厚さ0.2mm程度の付け爪のようなセラミック)を接着します。
審美的に見せるために、横幅、カーブ、大きさの比率、色などを計算して製作します。
材料学、色彩学、生物学などの知識に加え、製作者の感性にも左右されるところです。
技工担当:ORGAN DENTAL LAB. 長谷川篤史DT
術後は、歯周病で7mmもの骨欠損があった前歯が、正常な状態にまで骨が再生しています。
術前後の顎機能検査の比較:
顎の横ズレや不正な動き、運動量も改善しています。
かみ合わせ全体が3mm高くなり、前方適応し、下顎骨の左右差の解消も確認できました。
機能面を考えない審美歯科治療は、いずれ崩壊し、治療を繰り返すことで更に悪い状態になってしまいます。
機能を改善してこその審美です。
前歯にすきまが出来、それが徐々に広がってしまった患者さんです。
雑誌やWEBなどで大々的に「審美歯科」を宣伝をしている歯科医院では、
※2本の前歯の神経を取り、大きく削ってセラミックを被せる
※プラスチックですきまを埋める
という治療が主なところだと思います。
しかし、そもそも何故すきまが空いてきたのか??を考えなければ、
その場しのぎの治療になり、また治療を繰り返し、結局は抜歯になってしまいます。
この患者さんは、総合検査の結果、噛み合わせに問題があり、顎の位置がずれているのが分かりました。
ずれた位置のままでは、どんなに精密で審美的な被せ物でも長持ちはしません。
そこで、顎の位置や噛み合わせを治すために矯正治療を行いました。
セラミックを被せたり、プラスチックで埋めるようなお手軽な治療より時間がかかりますが、見た目はもちろん、お口全体の機能的な問題も解決できます。
健康な歯を一切削ったりせずに機能回復、審美回復出来ました。
噛み合わせを安定させることで、将来のむし歯予防、歯周病予防につながります。
本当の審美、美しさとは、機能に裏打ちされてこそなのです。
1月9日(祝)、歯科材料会社の Ci メディカル セミナールームにて
「インプラント治療において、力のコントロールはどのようにするべきか?」と題し講演を行います。
午後1時からの2時間で、インプラントを永らえるための咬合についてお話しする予定です。
東京駅前と交通の便も良いところですので、ご興味ある方はご参加ください。
http://www.ci-medical.com/shop/pages/seminar_implant_cr.aspx
9月の連休は名古屋での日本口腔インプラント学会への参加。
10月9日は大阪でCF NETWORKでの講演
How should we control bruxism grinding in occlusion treatement
- steep canine guidance and muscle activity -
10月22、23日は総合歯科ベーシックコースでWAX-UPのアシスタント、及び補綴ケースの講義。
11月20日は日大講堂でのIAAID-ASIA認定研修セミナーでの総合司会。
12月17、18日は総合歯科ベーシックコースで矯正治療実習のアシスタント、及び矯正治療ケース( CLASS I crowding, CLASS II lock,CLASS II openbite)の講義を行いました。
我々のスタディグループのメンバーである西山先生http://nishiyama-shika.comが今年立ち上げた姉妹グループ Geepee Brothers福島http://nishiyama-shika.com/?page_id=22の定期勉強会に行ってきました。
午前は患者さんの実際の治療を行い、午後は症例相談から始まり、私も「治療下顎位をどのように設定するか」のお話をしてきました。
患者さんの下顎位が正しいのか、正しくないのか。もし正しくなければ、ずれた顎の位置で治療することになってしまいます。
正しくない場合、正しい位置を設定してから治療に入るのですが、ここが診査診断で最も重要な部分と言っても良いでしょう。
今回は時間の関係で、補綴(被せ物)で行ったケースのみでしたが、次回は矯正治療のケース、矯正〜補綴のケースのお話を考えています。
参加された熱心な郡山の猪狩先生から感想を頂きました。
http://shirokuma.lekumo.biz/o/2016/09/geepee-f2b8.html
7月末にウィーンで開催されるSUMMER SCHOOL で、当院で噛み合わせを治し、歯ぎしりの負担を改善したケースを発表してきます。
N. Nakayama (JPN) How should we control bruxism grinding in occlusion treatement - a case report
他院で行ったインプラントのセラミックが壊れてしまい、来院された患者さんです。
総合検査をしたところ、他にも歯周病、顎関節機能障害も進行しており、大変な歯ぎしりも認められました。
噛み合わせを治すことで、多くの機能障害や歯ぎしりの負担まで解決することができました。
40分と言う時間の中で、治療の根拠、経過、結果をきちんと説明出来るよう準備を進めています。
そして 5日間にも渡る上記学会に参加のため、7/19−26までお休みを頂きます。
ご迷惑をお掛けしますが、新たな知見を得て診療にフィードバックしたいと思いますので、ご協力お願い致します。
(2枚目画像は2014年のsummer schoolに参加した時のものです)
2015年度のセミナーが2/20,21で終了しました。
今期からは矯正治療の理論、実習、症例解説が4日間になり、より掘り下げた内容になったと思います。
私は当院で行った3例の矯正〜補綴の症例解説を行いました。
撮影はGeepee Brothersメンバーの西山先生です。西山歯科医院
ゴムメタルのベンディング実習も行いました。
症例によりマルチループとの使い分けをして行きましょう。
是非、データ蒐集、診断、問題点の抽出、治療計画、治療基準位の確認をルーティーンにして下さい!
2016年度のセミナーは4月からです。
7月末にウィーンで開催されるSUMMER SCHOOL で、当院でインプラント、矯正治療を行い、噛み合わせを改善した症例を発表してきます。
噛み合わせの不具合から5本以上の歯を失い、他院でインプラントを行う予定でしたが、当院で総合検査をしたところ、そのままインプラントを入れても永くは持たないと診断をした症例です。
もともとの噛み合わせの不具合を治すことで、インプラントを長持ちさせるだけでなく、残りの歯のムシ歯、歯周病はもちろん、顎関節症のリスクも下げることが出来るのです。
上記学会に参加のため、7/22−8/1までお休みを頂きます。
ご迷惑をお掛けしますが、新たな知見を得て診療にフィードバックしたいと思いますので、ご協力お願い致します。
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事故で歯を失ってしまった患者さんです。
あらかじめCTで骨の状態が分かっていますので、歯肉の切開をしていません。
また通常は骨をドリルで削りますが、手術用の超音波で骨を切削しています。
ドリルでは不可能な繊細な処置が行えます。
切開をせず、ドリルも使わずに処置が出来れば、感染リスクや腫れ、痛みを極力少なくすることが出来ます。
インプラントの埋入状態も、その場ですぐに確認出来ます。
手術直後にプラスチックの仮の歯を入れる事が出来ました。
リスクが少なければ、翌日や一週間後などに消毒に来て頂く必要もありません。
この患者さんは後日、永く使えるセラミックに置き換えれば終了です。
切開やドリルの使用は逆に骨が少なくなってしまい、手術はもちろん、審美面でも満足行く結果を残せない場合が多々あるのです。
ムシ歯、歯周病、審美治療、インプラント治療、歯列矯正、予防歯科、、、、、
今日、我々歯科医師が出来なければいけない治療です。
努力と時間を掛けて理論を解し、技術を修得し、一人前の歯科医師となります。
しかし、それだけでは手先の器用なただの歯科医師です。
これからはその先を目指す必要があります。
『勘と経験』ではなく『原因を理解し、どう解決するか』です。
7年目のベーシックコースは新たに生まれ変わります。
佐藤貞雄教授の講義が加わりますので、既にコースを終えられた方も是非聴講をお勧めします。
4月下旬よりコースが始まります。
本年度で6年目になります。
年毎に、講義、実習はより分かり易く、充実したものに。
症例は経過を追う事が出来、更に新たなものも加えられています。
既に受講済みの方もオブザーバー参加が出来ますのでご連絡下さい。
3月23−25日は上記学会参加のためお休みさせて頂きます。
昨年度までは、噛み合わせに対する様々な考え方の演者を招待し、議論を重ねてきましたが、本年度の学会は「オーストリアン ナソロジー(オーストリア咬合学)」に絞り、より深く追求したものとなっています。
実に楽しみです。
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昨年は震災のため直前に中止になりましたが、2年ぶりに開催出来る事になりました。
Keywards:顎機能、咬合、顎関節症、スプリント、ブラキシズム、EBM、即時荷重インプラント、消化管障害、GUMMETAL
医療関係者向けセミナーのお知らせです。
我々のグループでは、一般歯科は勿論、矯正、顎関節症、顎機能検査など全ての分野を網羅した「総合歯科医療」を目指しています。
何故なら、総合検査を行い原因を特定した上で行った治療と、問題部分だけを診て治療した場合、後者が再び問題を起こす可能性は極めて高いからです。
症例報告等で、たまたま長持ちしているケースを見る事もありますが、その場合も何故長持ちしているのかの考察が不充分なのは否めません。検査が不充分なので考察出来ずにいるのです。
今回のセミナーでは、総合診断の中で極めて重要な「顎機能データ:CADIAX」をどのように診断し、治療に反映させるのかを講義、実習を通して理解して頂きます。
※講義だけの受講も可能です。
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