この患者さんは「かみあわせがおかしい」との訴えで当院にいらっしゃいました。
何件か歯科に行って同様の事を訴えたにも関わらず、検査もせずに何も問題が無いとの事でした。
確かに見た目には奇麗な歯並びをしているようです。
咬合検査を行うと、親知らずの不正、咬合平面の乱れがあり、CADIAX(顎機能検査)では開閉口時に顎が水平方向に左に2ミリずれる事が分かりました。
個々の歯を見ても、神経を取った後の治療や被せものに問題があり、再治療が必要な状態でした。
イメージがしにくいかもしれませんが、最終的に左右の顎関節を1ミリ前方に、そして水平方向左に1ミリずらした位置での被せものを制作しました。
治療前後です(1枚目画像)。
治療前は上下の正中が合っていますが、治療後はむしろ合っていません。これは水平方向左に1ミリずらしているためです(画像では向かって右にずれています)。この患者さんの場合、むしろ正中がずれている方が正しい顎の位置、という事になります。
治療前後のCADIAX(顎機能検査)です(2枚目画像)。
右側のOPEN/CLOSEを比べてみると、水平方向2ミリのずれが無くなっているのが分かります。
治療前後のセファロレントゲンです(3枚目画像)。
咬合平面の修正と顎の左右差が無くなった事が分かります。
見ただけでは、かみ合わせが正しいかどうかは決して分かりません!
またかみあわせ検査と言っても、施術者の主観が入ってしまうようなもの、実用に堪えない検査器機などもあり、患者側から見れば分かりにくい事この上無しです。
顔貌写真、口腔内写真、模型診査、セファロレントゲン、顎機能検査、ブラックスチェッカー(歯ぎしり検査)、筋の触診、詳細な問診などのデータを分析し、はじめて診査診断が出来るのです。
そして診断時に正しい顎の位置も分かっています。ですから、仮の歯の調整を重ねて様子を見るような、トライ&エラー型の診療ではありません。
ゴール(正しい顎の位置)が分かってさえいれば、あとはそこに向かって治療(被せもの、矯正、被せもの+矯正など)するだけです。