いわゆる見た目を治すだけの治療ではありません。
この患者さんは、歯が所々すり減っていたのですが、そのすり減りの原因がかみ合わせの不具合から来ていました。
歯周病も重度であり、むし歯の治療も繰り返し、歯も何本か失ってしまいました。
術前後
何が原因で見た目の不具合が起きているのか?
そこから考えていかなければ、同じようにすり減ってしまったり、また治療を繰り返すことになってしまいます。
まず大切なことは、そこに至ってしまったヒストリーも考えての診査診断です。
術前後
術前後
歯列不正や顎偏位を治すために、矯正治療と補綴治療(被せ物の治療)を行いました。
正しい顎の位置は、右の関節が2mm前方、左の関節が1mm前方だと診断し、そこに向かって治療を進めます。
歯列矯正後の再検査では、まだ少しのズレがあり、更に右側のかみ合わせを1mm高くする必要がありました。
歯は削れば弱くなってしまいます。
もともと削って被せてあった歯は、被せ物の交換をしていますが、前歯は削らずに、非常に薄いセラミックシェル(厚さ0.2mm程度の付け爪のようなセラミック)を接着します。
審美的に見せるために、横幅、カーブ、大きさの比率、色などを計算して製作します。
材料学、色彩学、生物学などの知識に加え、製作者の感性にも左右されるところです。
技工担当:ORGAN DENTAL LAB. 長谷川篤史DT
術後は、歯周病で7mmもの骨欠損があった前歯が、正常な状態にまで骨が再生しています。
術前後の顎機能検査の比較:
顎の横ズレや不正な動き、運動量も改善しています。
かみ合わせ全体が3mm高くなり、前方適応し、下顎骨の左右差の解消も確認できました。
機能面を考えない審美歯科治療は、いずれ崩壊し、治療を繰り返すことで更に悪い状態になってしまいます。
機能を改善してこその審美です。